6-15.昭和14年・宇都宮 大谷寺 ← ・ → |
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岩肌の中にすっぽりと納まったような社が見えますが、これは現在も同じ姿を残す、宇都宮の大谷寺です。 大谷石の岸壁に掘られた高さ4mの千手観音の磨崖仏が本尊で、大谷観音としても知られ、大正15年には、国の特別史跡にも指定され、更に昭和36年には重要文化財と指定されています。 近辺からは縄文時代の遺跡も見つかっており、古くから信仰の地とされ、一説には大谷寺の建立は1200年程前の平安時代とも言われています。
こちらの写真には《みろくぼさつ》という文字や、《左甚五郎作・開運大黒天》という文字が見えます。 左甚五郎と言えば、江戸初期の伝説的な彫刻師として知られていますが、日光東照宮の眠り猫や上野東照宮の昇竜降竜なども左甚五郎作といわれています。 ただあまりにも伝説の彫刻師だった事から、左甚五郎の名を冠した彫刻も多く、その真贋は現在でも謎のものが多いようです。 この開運大黒天は、現在も大谷寺の宝物殿で見る事ができるようです。 |
こちらは、別に保管されていた絵葉書です。 《宇都宮大谷の奇勝を探る》というタイトルで、中に何枚かの絵葉書が入っていました。
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左は《奇巌怪石點綴大谷御止山よりの眺望》というタイトルと《大谷石材切取作業場天然石柱》と記載されています。 確かに奇巌というなの山が広がり、その下には石切場なのか、小屋らしき建物も見えます。 作業場という絵葉書には、綺麗に切り取られた跡の石柱が見え、下には足場やトロッコ用なのかレールも見えます。 |
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次は《大谷 石材切取作業跡の奇観》と《老杉鬱蒼たる中に光る大谷多氣不動尊》となっておりますが、現在もこれに似た岩山が見ることが出来ます。 また、大谷多気不動尊は現在も大谷寺の近くにあり、こちらも1200年ほど前創建の古いお寺で、毎年初詣の際には、たくさんの参拝者が訪れるところであります。
そして下が《宇都宮名勝 繁華街 中央通の盛観》と記載されている1枚です。 広い道路には車も少なく、自転車やバイクが多く見えますが、店舗も土蔵の店舗から、ビルディングとさまざまで、《鈴木屋呉服店・坂本パン店・ツタヤ用品店》などの看板も見えます。
因みにこの絵葉書の表面には《郵便はがき》と印刷されています。 昭和8年までは《郵便はかき》と《が》の文字が《か》と明記されており、昭和8年になって変更されていますので、この絵葉書は少なくても昭和9年以降という事がわかります。 |
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