昭和からの贈りもの 第6章 昭和13年〜16年 東京外国語学校時代の記録

 6-40.昭和16年・戦場からの手紙   ・ 

 
昭和16年7月着の戦場からの手紙

昭和16年・出征記念で、兄弟の中でいち早く出征した次男からの手紙が何通かありました。
上はその中の1枚ですが、切手の部分には《軍事郵便》という印と《検閲》というスタンプが押されています。
この頃の郵便は、こうした検閲が行われていたようで、中には検閲で引っかかり、墨で黒く塗られたりもしたそうです。


宛先は上野桜木の4男の弟ですが、差出人住所は《中支派遣阿南部隊氣付 物部○隊 會田部隊 児玉隊》と書かれていますが、中支派遣とは、中国方面への派遣部隊の事のようです。
昭和16年7月1日に手紙が着いたようですが、次男はこの年4月に入営して直ぐに中国に渡ったそうです。

文面を見ますと、4男の弟が、出征した兄に手紙を書いた返信のようですが、
『御便難有得』
『今のところ何も不自由して居ません』
『こちらは毎日百度を越しています』
などといった記述もあります。
《難有得》とは昔の《有難う》という記述でしょうか?
百度とは華氏のことですので、摂氏38度と言う事になりますが、確かに暑そうです。


こちらの写真は、上野桜木の自宅前の次男ですが、階級章が★ひとつですので、入隊した頃のようです。
とするとこの写真を撮った後に中国に向かったのでしょう。

他にも次男からの手紙が何通かありましたが、下は昭和18年12月10日着信となっています。
文面には
『こちらでは暑さが今でも厳しいです。内地ではもう秋も深まり、冬のおとずれと共に・・・』となっていますので、差し出したときは秋だったものの、着信まで2ヶ月近くかかっていたのかも知れません。

【戦場からの手紙】という映画やドラマがありましたが、こうした手紙もまさに戦場からの手紙ですね。


←BACK ・ NEXT→

昭和の出来事(昭和13年昭和14年昭和15年昭和16年

昭和からの贈りものTOPへ

お星さまの贈りものTOPへ