昭和からの贈りもの 第6章 昭和13年〜16年 東京外国語学校時代の記録

 6-12.昭和14年・葉山別荘   ・ 


葉山山脇氏別荘にて 真ん中が叔父/昭和14年

葉山山脇氏別荘にて 級友3人/昭和14年

水着姿で写る伯父たちと、人形を手にしているという不思議な写真がありました。
ビーチならまだしも、家の前で水着姿とは・・・更にお人形を手にしている姿は、見方によってはとても不思議ですが、伯父に見てもらったら、

「これは友達の葉山の別荘だ!
右端の山脇君の別荘が葉山にあって、そこに4人で行ったときに撮ったんだよ。
海岸のすぐ側に別荘があったので、海から帰ってきた時のもんだろう・・・
山脇君は暁星中学校出身で成績が良くて、その後我々よりも早く徴用で海軍に行ったよ・・・」

と昔のことを思い出していましたが、仲が良い4人だったそうで、この時も三日程泊まっていたそうです。
別荘だからか、芝生が敷き詰められ、いかにも風通しのよさそうな家です。
縁側の下には薪も見えます。
やはりこの頃のお風呂や暖を取るとしたら、薪だったのでしょう。


葉山山脇氏別荘にて/昭和14年

葉山山脇氏別荘にて 真ん中が叔父/昭和14年

こちらの写真には女の子の姿も写っていますが、山脇さんの妹さんのようで、この時一緒に別荘に来ており、お人形も妹さんの人形と聞き、ちょっと安心しました。

葉山と言えば、明治初期から欧米の外交官を中心に《素晴らしい避暑地》として紹介され、諸外国の人たちの別荘が建ち、更に、明治27年には御用邸も造られます。

その後も大正から昭和の初期にかけ、男爵や子爵や、諸外国の別荘が建てられ、葉山は別荘ブームとなります。
この別荘も、そうした中で建てられたものかもしれません。

戦後一時期進駐軍によって規制されますが、その後映画の舞台にも度々び登場し、今でも葉山は憧れの地のひとつとして人気です。


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