第三十三回 自然と神秘と天川と 前編

《地球のへそ》と言われ???と思うのが普通。
『あ〜知っている!』と言うのがものしり。
『いや〜あそこのへその水は美味しい…』と言うのは通。
『ああ、あそこの神主さんが○○で御宿が○○で、途中のイチョウの…』とはじまったら付き合っていられないので逃げるべし…
等はどうでもいいこと!
そうです。《地球のへそ》に行って参りました。

熱い夏も過ぎ去り、少しづつ秋の便りがチラホラ…という2001年9月。浅草を出発した車は東名高速をひたすら西へ。


今回は、数々の宝塚歌劇団の生徒さんたちの“酷使した体”を直し続けてきてくれた“氣”の先生が、生前おっしゃっていた言葉。
『天川にある天河神社の帰りに見たイチョウの見事さといったら…いや本当に素晴らしい!』
と言う言葉だけが頼りに、天川に向かう事となったのです。

さあ天川といっても、天川がどこかも知らず、天河神社もどこやら、さらにその帰り道にある、1本のイチョウの樹を見ようというのは、雲を掴むようなもの…。
でも行けば何とかなるだろう!との気持で、地図を広げ御宿探し!

それにしても天川は広い!台東区と文京区を足したぐらいの広さで、また御宿もたくさん。何でも修験者さん達が随分と訪れるところのようで、旅館も民宿もたくさん。
そんな中でピン!ときた1軒の民宿が、「井頭」さん。さっそく電話をしてみると、とても愛想がよい奥さんと、親切に道のりを教えてくれただんなさん。こういった初めての御宿は、電話の第一印象が一番重要なポイントで、すぐさま予約となったのです。

そして『天河神社ってどの辺りですか?』と訪ねたら、『ああ丁度うちのまん前ですよ!』との返事。
これはこれは素晴らしい!探していた最初の目標が見つかった!あとは帰り道を調べるだけだ…となりいざ天川へ。

天川までは600km、およそ8〜9時間と見当をつけ、明け方に出発した一行は丁度昼前に名古屋近辺。さてお腹も空いたし、パーキングでお昼というのもなんだしな〜ということで、インターを降りて名古屋市内でお昼を!と決定。


名古屋でお昼!と思いつくのは、うなぎの「いばしょう」さん。おなじくうなぎの「蓬莱軒」さん。中華なら「ピカイチ」さん。“てんむす”もいいなぁ…釜飯なら…家庭料理なら…などと思いつつも、結局市内の“みそ煮込みうどん”で決定!
今は綺麗なビルですが、昔は木造のお店で雰囲気“ばっちり”だった老舗の「山本屋総本家」さんののれんをくぐったのですが、名古屋にはもうひとつ、「山本屋本店」というお店もあるのです。名は総本家と本店の違いなのですが、どちらのホームページを見ても、下の方に
弊社は全店「山本屋○○」ののれんで営業しております。紛らわしい店名にご注意ください。…」などと書かれており。またTOPにもFlashを用いたページになっており、「わしの方が元祖!」とか「いいや当店が…!」等といった感じがしてライバル意識が強いのだな〜と人事のように感心してしまいました。
で、その総本家の方の腰が強〜く、そして味噌味が濃〜いうどんと、おでんで腹ごしらえ!くせになりそうなおつゆも平らげたあとは、東名阪道に入り、三重県の亀山インターで降り、今度は国道をひとっ走り。

みそおでん三点盛り也 こちらが山本屋さん 味が濃くくせになるお味です


国道と言ってもこの名阪国道は信号もなくほとんど高速道路のようなもの。こんな道路が東京にもあったらなぁと思いつつ“針”というインターで降り、さていよいよ一般道から山道へ…と思っていた我々を誘っていたかのように建っていたが「道の駅 針」。


とにかく“道の駅”が大好きな一行はさっそく車を停車。地物の物色に入り、地ものの“らっきょう”と地のおばちゃんのイラスト入りの桃ジャムやお茶などを購入。もちろん車中用のよもぎ餅やら饅頭の類も忘れません!
それにしてもこの道の駅はとても大きく、地物の品数も豊富で、レストラン街や温泉などもあり、ちょっとした地元のオアシスなんでしょうね。


あたらしくおしゃれな道の駅針 らっきょうと桃ジャムは絶品!

さて針を出発するといよいよもって大和路。のどかな古い町並みや畑道、ゆったりした吉野川沿いの道と、すこぶる良好な道の連続。
途中催し物をやっているとわざわざ覗いたり、いい景色に出会うと泊まったりしながら走っていくと、ややや!またまた道の駅!ということで今度は“道の駅 吉野路黒滝”


こちらは先ほどの“針”とは違ってちょっと小さめでしたが、吉野杉や吉野ひのき細工物が豊富で、興味深々の品そろえ。残り1個となっていたバターナイフをすぐさま手にし、ただのひのきを削ったカスではありますが、芳香剤としてもつかえそうなひのきパウダーやらを掴み、最後に押し寿司にチャレンジ!とばかりに押し型を抱えてちょっと満足。
しかし何より良かったのが、建物裏手の清い清流でした

町並みがなかなかでした こちらはいわゆる“はぜかけ”です 裏手の清流!おそるおそるさわっています
ひのきの寿司型\1200也 ひのきパウダーは安かった… こちらはバターナイフ\300也

こうして道の駅を見つけたり、おもしろそうなお店が目に入るとすかさずチェック!湧き水があると、ひと飲みゴクリ!と立ち寄ったりして寄り道をしているうちに時は経ち、そろそろ御宿に行かなくては…と、吉野路をひた走り!
新しい道が出来ていたにもかかわらず、古いカーナビの示す通りに走ると、ここ最近は車が走った形跡のなく草木がぼうぼうの旧道。しかしこの旧道がこれまた神秘的で綺麗だったなぁ〜。

山の清流を見ると喉が鳴るのです 河が綺麗でした
ここの柿はうまかった! 旧道の杉並木が見事でした

都内を出発して10時間!ようやく目的の天川にたどり着いたので〜す。


そしてひろ〜い天川のなかから、電話の第一印象ですぐさま決めた民宿「井頭」さんにも無事到着。築100年というりっぱな、そして雰囲気のある民宿と、人の良さそうな奥さんの笑顔にまず一安心。
そして道を挟んだすぐ反対側には、天河神社の鳥居が立っており、「おおーっここが…」とまた安心

築100年の歴史の“井頭”さん こちらが“天河神社”への入り口

「よ〜し!明日はいちょう探しだ!」と後を振り返った目に、飛び込んできたのが、こんもりとデーンと立っている大きな大きなイチョウの樹。
そうなんです。初めから呼ばれていたかのように、場所も知らなかったイチョウの樹に真っ先に巡りあえたのです。

小山のようなイチョウの大樹 すかさず樹の下へ まさにデーンと立っていました

すぐさまイチョウの樹に向かうと、なにやら強い“氣”の気配!別に怪しいものが潜んでいるのでもなければ恐〜い何かがいる訳ではなく、“樹”が発している“氣”なのです。
さてどういうのが“氣の気配”?などと話をしていると、長〜くなってしまいますが、簡単に説明しますと、“ビビビッっと感じる気配”というか“覆い被さるような不思議な空気”というか…とにかく“氣”なのです。

とにかくあまりの驚きと嬉しさ!宿に戻るのも忘れ、しばらく樹の下で見上げていました。


さてさて、目指すイチョウにすんなりと出会え喜んでいるうちにもお腹は空くもので、ようやくお宿【井頭】さんでの夕食となりました。

ここ天川では、民宿の料金が決まっているそうで、どこも大体¥6500だそうですが、料理だけは各民宿ならではの味があるはず!そしてここのお味もなかなかのもので、とにかくお料理の全てに愛情が感じられ、煮物や、田楽、揚げ物と皆美味い!そしてご飯も美味い!
特にこのご飯の美味さは“水”の影響も大いにあるような感じなのです。結局ご飯も随分とお代わりをし、全て残さず頂きました。

築100年は趣のあるたたずまい 夕食は全て残さず頂きました

こ【井頭】さんは、何でも昔から前の天河神社の守をしていらしたそうで、門構えや土間、お部屋の作りから縁側と、建物も築100年の歴史を感じさせる古い作り。宿の雰囲気といい、お料理といい、まさに良い所でいい御宿に巡りあえたといった感じでした。

お腹が満ちれば、ゆったっりしたくなるもの、ならば…と向かったのが、宿から歩いて5分ほどの温泉。その名も【天の川温泉】。
その名の通り、【天の川】と言う川がそばに流れ、お空の【天の川】も大きく綺麗に見える温泉だそうですが、あいにく曇り空…。でもふんだんに木を使った建物とお風呂で、とても良い温泉でした!

こちらが“天の川温泉”入り口

注意書きも立派な木

中は木の香がします

内風呂はもちろんひのき風呂

天井の梁が太い!

露天風呂からの星が見たかった…


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